眼精疲労(目の痛み・かすみ)は日々の積み重ねから
眼精疲労とは、目を長時間酷使することによって引き起こされる目の疲れや不快感など目に現れる症状の総称です。
「PCやスマホの画面を長時間見続ける」「細かい作業を長時間行う」「暗い場所での読書」などが原因で生じることが多く、代表的な症状としては、目の痛みや乾燥感、視界がぼやける、頭痛、首や肩のこりなどがあります。
眼精疲労は一時的なものである場合が多いですが、放置すると慢性的な症状に発展します。
そうならないためには、「適切な休憩を取る」「目をリフレッシュさせるために遠くを見る」「適切な照明の下で作業を行う」「ブルーライトをカットする眼鏡を使用する」など日頃から気を付ける必要があります!
また、目の周りを温めたり、目元の軽いマッサージなどもセルフケアとして有用です!
眼精疲労の症状
眼精疲労の症状は多岐にわたり、目そのものの不快感から全身の影響まで広がることがあります。
目に関連する症状
- 目の疲れ: 目を開けているのが重く感じる、まばたきの回数が増える。
- 目の痛み: 目の奥や周囲に鈍い痛みを感じる。
- 視界のぼやけ: 長時間近くのものを見続けた後、遠くのものがぼやけて見える。
- 乾燥感: 目が乾きやすく、異物感やゴロゴロする感じが出てくる。(涙の分泌が減少するため)
- 充血: 目が赤くなる。(目に栄養を送ろうと血管が拡張するため)
頭部や体に関連する症状
- 頭痛: 特に前頭部や目の周りに痛みを感じる。
- 肩こりや首の痛み: 長時間同じ姿勢で作業することにより、肩や首に負担がかかり、痛みが生じる。
- 吐き気: 視界がぼやける、焦点が合わないなどで吐き気を感じることがある。
その他の症状
- 光に対する過敏: 光を眩しく感じることが増え、通常の明るさでも目が疲れやすくなる。
- 集中力の低下: 目の疲れから来る不快感が原因で、集中力が低下する。
- 睡眠の質の低下: 目の疲れや頭痛が原因で、なかなか眠れない、または眠りが浅くなる。
眼精疲労は日常生活にも影響を及ぼすので、早期に対処することが重要です。
適切な休憩や目を守る習慣を取り入れることで、症状の進行を防きましょう!
眼精疲労の原因
眼精疲労の原因は、現代ならではの環境に大きく関係しています。
1. スマホやパソコン
- 長時間の使用: 仕事や学業で、長時間にわたりPCやスマホを使用することが眼精疲労の主な原因です。これらのデバイスを見続けると、まばたきの回数が減少し、目が乾燥しやすくなります。また、画面から発せられるブルーライトは、目に負担をかけることが知られています。
- 画面の光: 強い光やちらつき、過度のブルーライトは目に負担をかけ、視覚情報処理を難しくし、疲労感を引き起こします。
2. 作業環境
- 照明が暗い: 作業している部屋などが暗い、逆に明るすぎる場合に目が疲れやすくなります。特に、暗い場所での読書や細かい作業は、目を酷使します。
- 画面(モニター)の位置: 画面が目の高さより高すぎたり低すぎると目だけでなく首にも負担がかかります。また、画面と目の距離が近すぎると、目の焦点調整が困難になり、疲労を感じやすくなります。
3. 視力の影響
- メガネやコンタクトをつけない: 近視、遠視、乱視など視力の異常があるのに矯正していない場合、目が余分な労力を使い、疲労しやすくなります。
- 老眼: 加齢により、近くのものを見るときにピントを合わせるのが難しくなるため、目の疲れを感じやすくなります。
4. 精神的・身体的ストレス
- ストレスと不安: 精神的なストレスや不安は、身体全体の緊張を引き起こし、特に肩や首、目の筋肉に影響を与えます。
- 疲労と体調不良: 体調が悪かったり、睡眠不足が続いていたりすると、目の疲れを感じやすくなり、目が疲れると、身体全体に影響が及ぶこともあります。
5. 不適切なコンタクトやメガネ
- 度数が合っていない: 不適切な度数のレンズを使用していると、目が無理に焦点を合わせようとし、眼精疲労を引き起こします。
- 乾燥しやすいコンタクト: 一部のコンタクトレンズは目の乾燥を引き起こしやすく、乾燥が疲労感につながります。
6. 姿勢の問題
- 不良姿勢: 作業時の姿勢が悪いと、首や肩に余計な負担がかかり、その影響で目も疲れやすくなります。特に、猫背や前かがみの姿勢は眼精疲労を助長します。
7. その他の要因
- 室内の乾燥: エアコンなどで空気が乾燥すると、目が乾燥しやすくなり、眼精疲労を引き起こしやすくなります。
- アレルギーや目の疾患: 花粉症やアレルギー、結膜炎などの目の病気は、目を不快にし、疲れを増幅させることがあります。
眼精疲労を予防するためには、これらの原因に対処し、適切な休憩や目のケアを行うことが重要です。
自分でできる対策
1. 目のリフレッシュ
- 目を閉じる: 短時間でも目を閉じることで、目を休めることができます。
- 目の運動:目を左右上下に動かしたり、時計回りや反時計回りに回すと目の周りの筋肉がほぐせます。
2. 環境の改善
- 適切な照明: 自然光が最適ですが、間接照明やデスクライトを使用して、画面の反射を避けるように明るさを調整する。
- 画面の明るさとコントラスト: デジタルデバイスの画面の明るさを周囲の明るさに合わせ、周囲とのギャップを調整する。明るすぎるまたは暗すぎる画面は、目に余計な負担をかけます。
- 画面の位置: 画面は目の高さかやや下に配置し、目と画面の距離は50~70cm程度が理想とされています。
3. 目の乾燥を防ぐ
- まばたきの意識: 長時間液晶モニターを使用していると、まばたきの回数が減り、目が乾燥しやすくなります。意識的にまばたきを増やすことで、目の潤いを保つことができます。
- 目薬の使用: 目が乾燥している場合、人工涙液や目薬を使用して潤いを保つことが大切です。
- 加湿器の利用: 室内の空気が乾燥している場合、加湿器を使用して適度な湿度を保つことが効果的です。
4. 適切なメガネ・コンタクトの使用
- ブルーライトカットのメガネ: ブルーライトカットの眼鏡を使用することで、目の負担を軽減できます。特に、長時間画面を見る場合に効果的です。
- 適切な度数のメガネやコンタクト: 度数が合っていないと、目が無理に焦点を合わせようとするため、疲労しやすくなります。
- コンタクトの適切なケア: コンタクトレンズを清潔に保ち、適切なケアを行うことで、目の健康を維持し、疲労を防ぐことに繋がります。
5. 姿勢の改善
- 正しい姿勢で作業する: パソコンやデスクワークを行う際は、背筋を伸ばし、両足を床にしっかりとつける姿勢を保つことが重要です。椅子の高さやデスクの高さも適切に調整しましょう。
- 椅子選び: 腰や背中をしっかりサポートする椅子を選び、長時間座っても疲れにくい環境を整えることが大切です。椅子の高さを調整し、足が床に平行になるようにすると、姿勢が安定しやすくなります。
6. 目元を温める
- 温かいタオルや蒸しタオル: 温かいタオルや蒸しタオルを目の上に置くことで、目の血行が改善され、筋肉がリラックスします。これにより、眼精疲労の症状を緩和できます。
- 市販の温感アイマスク: 温感アイマスクを使用するのも効果的です。仕事の後や寝る前に使用すると、リラックス効果が得られます。
7. 適切な栄養摂取
- 目に良い栄養素の摂取: 目の健康を維持するために、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ルテイン、オメガ-3脂肪酸などの栄養素を含む食品を摂取することが推奨されます。これらの栄養素は、目の細胞を保護し、眼精疲労の予防に役立ちます。
- 水分補給: 十分な水分を摂ることで、体全体の水分バランスを保ち、目の乾燥を防ぐことができます。
8. ストレス管理とリラクゼーション
- 適度な運動: 体を動かすことで、全身の血行が良くなり、目の疲れも軽減されます。特にウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動は、リラックス効果も期待できます。
- リラクゼーション: 深呼吸、瞑想、マインドフルネスなど、リラクゼーション技法を取り入れることで、精神的なストレスを軽減し、眼精疲労を和らげることができます。
これらの対処方法を日常生活に取り入れることで、眼精疲労を予防し、快適な視生活を送ることができます。
ドライヘッドスパ
- 頭皮と目の関連性:頭皮と顔の筋肉、特に目の周りの筋肉は密接に関わっています。頭皮をマッサージすることで、目の周りの筋肉の緊張が緩和され、眼精疲労の症状が軽減されます。
- 血行促進:頭皮のマッサージは血行を促進し、目や頭部への酸素と栄養の供給を改善し、目の周りの血流が良くなり、眼精疲労の軽減につながります。また、血行が良くなることで、老廃物の排出が促され、目の疲れが取れやすくなります。
ドライヘッドスパは、眼精疲労やストレスの軽減、全体的なリラクゼーションに有効な方法ですが、個々の症状やニーズに応じて、他の治療法と組み合わせることが効果的です。また、定期的な施術を受けることで、より持続的な効果が期待できます。
鍼灸治療
血行促進と筋肉の緊張緩和
• 血行促進
鍼や灸を特定のツボに鍼を施すことで、局所的および全身的な血行が改善されるとされています。目の周りや首、肩のツボを刺激することで、これらの部位に蓄積された疲労や緊張が解消され、眼精疲労の症状が緩和されます。
• 筋肉の緊張緩和
目の周りの筋肉や首、肩の筋肉が緊張していると、眼精疲労が悪化するので、鍼灸で首や肩の凝りや筋肉の緊張をほぐすこと、眼精疲労が軽減されることが多いです。
ツボ(経穴)への直接的な効果
• 目の周りのツボ
目の周囲には、眼精疲労に特に効果的とされるツボがあります。例えば、「睛明(せいめい)」「攅竹(さんちく)」「太陽(たいよう)」などのツボは、目の疲れや視力の問題に対する治療でよく使用されます。これらのツボに鍼を施すことで、目の周りの血行が促進され、疲労が和らぎます。
• 全身のツボとの連携
眼精疲労は目だけの問題ではなく、全身の状態とも関連しています。そのため、鍼灸では、目の周りだけでなく、手足や背中などの全身のツボも使用します。例えば、「合谷(ごうこく)」「足三里(あしさんり)」などのツボを刺激することで、全身のバランスを整え、眼精疲労の改善を図ります。
研究結果やエビデンス
• 一部の研究では、鍼灸が眼精疲労に対して有効であることが示されています。例えば、鍼灸治療が眼精疲労による痛みや不快感の軽減に寄与すること、また、目の機能改善に役立つことが報告されています。これらの研究は、鍼灸が伝統的な治療法だけでなく、現代医学においても有効な補完療法であることを支持しています。
• 患者の体験談
鍼灸を受けた患者からは、目の疲れが軽減された、視界がクリアになった、目の周りの痛みや違和感が軽くなったといった報告が多くあります。これらの体験談は、鍼灸の有効性を裏付けるものとされています。
眼精疲労の緩和や治療において、鍼治療は有効な手段となます。定期的な治療を受けることで、目の健康を維持し、快適な視生活を送ることが期待できます。
東洋医学的な眼精疲労
眼精疲労は東洋医学的な視点で、身体全体のバランスが崩れることで目に症状が現れると考えられています。「気・血・水」の循環、「五臓六腑」の調和が健康の基本とされており、眼精疲労はこのバランスが乱れた結果とされます。
1. 肝(かん)の不調
- 肝血不足: 東洋医学では「肝」が目と深く関わりがあるとされています。肝は血液を蓄え、全身に血液を供給する役割を担っていますが、特に目に十分な血液を供給することが大切です。肝の機能が低下して血が不足すると、目が乾燥したり、疲れやすくなったりする「肝血不足」の状態になります。これが眼精疲労の原因になると考えられます。
- 肝火上炎(かんかじょうえん): ストレスや怒りが溜まると、肝の「気」が上昇し、「肝火上炎」という状態を引き起こします。これにより、目が充血しやすくなったり、痛みを感じたりすることがあります。
2. 腎(じん)の弱化
- 腎精不足: 腎は生命力や成長、生殖、骨、聴覚、視覚に関わる臓器であり、腎のエネルギー(腎精)が不足すると、目の働きが弱まり、視力が低下したり、目の疲れを感じやすくなったりします。特に年齢を重ねることで腎の機能が低下すると、眼精疲労が増えやすいとされています。
3. 気血の不足
- 気虚(ききょ)と血虚(けっきょ): 気は生命エネルギーを指し、血は体を養う液体です。気血の不足、特に「気虚」や「血虚」の状態になると、目を養うエネルギーや血液が不足し、目が疲れやすくなります。これらの状態は、体力の低下や栄養不足、過労などによって引き起こされることが多いです。
4. 湿熱(しつねつ)と痰湿(たんしつ)
- 湿熱の蓄積: 東洋医学では、体内に湿気と熱が溜まる「湿熱」が原因で、目の充血やかすみ、目の周りの腫れや痛みなどが生じると考えられます。この状態は、飲食の不摂生や消化器系の不調、外部の湿度の影響などによって引き起こされます。
- 痰湿の停滞: 痰湿とは、体内の余分な水分や老廃物が滞る状態を指します。これが目の周りに停滞すると、視力低下や目の重さを感じることがあります。痰湿は、消化不良や運動不足、過剰な湿気などが原因で生じます。
5. 脾(ひ)の弱化
- 脾胃虚弱: 脾は、消化吸収やエネルギーの生成を司る臓器であり、脾が弱ると、気血の生成が滞り、目に十分な栄養が届かなくなります。この結果、眼精疲労が引き起こされると考えられます。食生活の乱れや過労が脾胃の弱化に繋がります。
6. 外からの要因
- 風寒や風熱: 外部からの風邪や寒さ、熱さが体に侵入すると、これが「風寒」や「風熱」となり、目の不快感や疲労を引き起こすことがあります。これらは環境の急激な変化や季節の変わり目に影響されることが多いです。
7. 心(しん)の不調
- 心火亢盛(しんかこうせい): 心は精神活動と深く関連しています。精神的なストレスや不安が続くと、心の「火」が盛んになり、これが目の充血や疲労感を引き起こすことがあります。心火亢盛の状態では、特に睡眠障害や精神的な緊張も併発しやすくなります。
眼精疲労は身体全体のエネルギーのバランスの乱れや、臓腑の機能低下によって引き起こされると考えられるので、治療や予防には全身の調和を取り戻すことが重要とされ、鍼灸や漢方薬、食事療法、生活習慣の改善などが用いられます。また、ストレス管理や休養の取り方も、眼精疲労を防ぐために大切です。
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